このラブソングがやばい KAT-TUN編
「Heyキャシー、11月24日、よければ俺とデートしないかい?」
「まあごめんなさいジョニー、その日は予定があるのよ。ベストアーティスト2015を見るって決めているの」
「なんてこった! それって君の好きなジャニーズグループが10組も出るっていうあの?」
「そうなのよ、しかもその10組51人でジャニーズLOVEメドレーを歌うんですって。何があっても絶対に見逃せないし、高画質で録画して何回も繰り返し見ないといけないわ」
「ふむ……だが君の好きなグループ、KAT-TUNだっけ? 彼らの曲はギリギリでいつも生きていたがったりつまらねぇ毎日を抜けだしたり汚れたシャツが君の地図だったりするんだろう? LOVEメドレーで歌えるようなラブソングなんてあるのかい?」
「あら! 見くびらないで、そりゃあKAT-TUNはここを今飛び出したりひとり家を飛び出したりもうココに戻れなかったりしがちだけど、彼らにだって素敵なラブソングはいっぱいあるのよ!」
「Sorry…,それは不勉強だったよ。永遠に戦っているわけではないんだね」
「……まあ、ちょっとこれ大丈夫なの?って不安になるラブソングがあるのも事実なんだけど」
「なんだって? そいつは興味が出てきたぞ。例えばどんなものがあるんだい?」
「そうねえ……たとえばこれね、NOTHING ELSE MATTERS」
「ふうん、どれどれ……Oh! そのピンヒールを脱いで、だなんてセクシーじゃないか!」
「そう、ピンヒールを脱いで名もなき夜の果てで抱き合って震えるLIPSを交わす、刹那的ラブソングよ」
「美しい歌詞じゃないか」
「そうね、まるでナイトアクアリウムだとか儚いサファイアブルーだとか、綺麗でロマンティックだと思うわ」
「これのどこが駄目なんだい?」
「問題はここよ。左指に 涙で滲む 悲しげなPROMISE」
「Oh My God! 君たちやっぱりプロミスじゃないか!」
「そう……彼女は左手に約束の指輪をしているのよ。結婚指輪をね」
「なんてこった……」
「そしてもう一つ注目すべきポイントがあるわ。もしもこのまま すれ違ったら 二度と出逢えない」
「なんだって!? キャシー、つまり彼と彼女は連絡先も知らないような間柄なのかい!?」
「そうよ。これは夫との結婚生活がうまくいっていない行きずりの女に声をかけてベッドインする歌なのよ。わたしは言いたいわ、まず離婚してからにしなさいと」
「まさかアイドルが不倫の歌を歌うなんて思わなかったからびっくりしたよ!」
「でしょう? まあ、この歌はKAT-TUN LIVE quarterでも披露して、演出がよかったから全て許したけどね」
「HAHAHA! こいつぅ!」
「次はちょっとインパクトはないけどこれね、何年たっても。じんじん熱いよって歌詞があるからJIN AKANISHIが歌うのを恥ずかしがったらしいというわ」
「ふむ、君はこの曲のどこがお気に召さなかったんだい、キャシー?」
「閉店まで電車もない、まだまだ歌うよ、等歌詞からは終電がなくなったあとカラオケ店で始発を待ってオールしたカップルの歌だと推測できるわね。この歌の問題点はただひとつ、こんな道のど真ん中で ふたり キ・ス・し・た、この部分よ」
「Ah-」
「しかもここを見て、明け方にはもう走り出す電車 ギャラリーは増えてるのに、よ。始発も動いて周囲に人がいる、なのに道のど真ん中でキスよ。路ちゅーよ。なにがみんなが見てるよ関係ないんだよよ、関係あるわよ普通に邪魔よ。せめて道の端なら許したわ」
「キャシー、落ちついてくれ」
「ああ……ごめんなさい、わたしなら冷静よジョニー。次の歌に行きましょう。次はこれね」
「Lovin'UーAh-Han? これはquarterの和アレンジが素晴らしかったやつだね?」
「その通りよ。あのアレンジがあまりにも素晴らしすぎたためにそこばかりついついリピートしてしまうというあの曲だけれど、冷静になって歌詞を見るとなかなかにクズ男の歌だわ」
「さすが冷静になったキャシーは聡明だ」
「この男のしていることはおそらく試し行動ね。子供が親・里親・教師などの保護者に対して、自分をどの程度まで受けとめてくれるのかを探るために、わざと困らせるような行動をとることbyデジタル大辞泉よ。いつも泣いてた君って言うけど、泣かせていたのは男自身なの。俺以外の誰かを好きになってしまう妄想、奪われることだけに震えていた臆病な俺、相当な束縛男だったと考えられるわ。自分さえも見失っていたあの日、君の優しさまでも振り払った――――DVかしら? そして傷ついた彼女は部屋を出ていった」
宇多田ヒカル - Prisoner Of Love - YouTube
「かわいそうに…」
「そしてここからはわたしの勝手な深読みなのだけれど。命よりも大切な君、俺がこの世に生まれたのは君に出会う為、君がいないとダメになってた……壮大になってきたと思わない? ここが引っかかるのよ」
「それだけ彼女のことが好きだってことじゃないのかい?」
「そうかもしれない。でもね、次の歌詞はこうなの。突き刺す痛みも。違和感を覚えないかしら」
「彼女と別れて胸が痛いってことだろう」
「それもそうかもしれない。じゃあその先――――もうひとりじゃない ひとつになれる」
「キャシー、君の言いたいことがだんだんわかってきたぞ。つまり君は、彼が彼女を刺し殺したって、そう言いたいんじゃないか?」
「その通りよ。ラスト1行を見てごらんなさい。この俺は最後まで? 最後がやってきたのよ。さらに最初に戻ってごらんなさい」
「この俺を最後まで 愛し続けることが本当に できるかどうかだけを知りたかった……Wao!」
「気付いたみたいね。そうよ、過去形なのよ」
「なんだか怖くなってきたよ……次はこの雰囲気を変えるような曲を教えてくれ」
「そうね、SADISTIC LOVEなんてどうかしら? あなたのお気に召すと思うのだけれど」
「どれどれ……、キャシー、こ、これは……! 君は俺が痛みに顔を歪ませて満足な男だと思っているのかい!?」
「どうせ深い愛だから痛い支配したいんでしょう? 見たい痴態君次第してる期待なんでしょう? DOGGY STYLE髪掴み寄せてちぎれるくらいに噛みかけたいんでしょう?」
「Nooooooooooo!! 俺は自分で弄らせたり体の中まで火照らせたり耳元で囁く君を開拓なんてするもんか! そりゃ君がこれが快感だっていうなら止めないけど」
「そして食らわすまたもSPANKINGするんでしょう!?」
「手を付き立ちな腰を突き出しな、これがREAL LOVEだ、ってそんなわけないじゃないか!」
「そうね、ここ別に成人向けブログじゃなかったわ」
「とんでもなく卑猥なセリフを口走ってしまったように思うけれど、これは歌詞だから仕方ないね」
「こんな歌をゴールデンで披露してしまった日には平和なご家庭が気まずくなるわ。わたしはこの歌好きだけれど」
「やっぱり好きなんじゃないか!」
「あー……もっとエロじゃない歌はないのかい?」
「もう少しソフトなプレイがお好みなら……愛のコマンドはどう?」
「どんな歌なんだい?」
「ラブのコマンドをスイッチするソングよ」
「えーと、ほらとっくに 蜜 熟してる……そう禁断の花びらがうずいてる……このSwitch Baby 押したHot Lady 早いPitch 経験 濡れた奥まで 奥の奥にTouch かきまわしTouch……エロじゃないか!!」
「そう、SADISTIC LOVEの陰に隠れがちだけどこの歌もかなりエロワードが満載よ。エロワード・エロリップよ」
「もし君がハバネロ錬金術師 *1 のことを言っているのなら、彼はエロガード・エロリップだよ。大多数に通じないネタはやめるんだキャシー。ところで錬金術師と言えば、KAT-TUNもファンタジー世界を舞台にした曲が色々あるだろう? なんだっけ、ラルクアンシエルとかいう……」
「Le ciel〜君の幸せ祈る言葉〜のこと? エルフの森の中 空を見上げ、剣をかざして楽園の頂きに立つ歌だけれど」
「そう! ネットゲームの中に閉じ込められたプレイヤーの歌ではないんだよね?」
「他にもファンタジー色が強いのだとT∀BOOなんかもあるわね。長い呪文にかかるふり、自由を手にした人魚の誘惑、魔性の扉、十字架を掲げて、永遠の鎖に二人繋がれてetc.」
「Fantastic! 中学二年ころの僕が必死にノートに書き留めそうな、心躍る言葉の数々だ!」
「この曲はQUEEN OF PIRATESの登場曲よね。海賊コスチュームで現れた彼らの格好いいことったらなかった。でも田口くんが王子にしか見えないと周りでも評判だったわ」
「登場曲と言えば、N.M.P.(NO MORE PAIN)なんかもそうだったんだろう? こっちも随分とスケールの大きなファンタジーソングだね。天地を引き裂き この身は深く貫かれ 朽ち果てた十字架だなんてわくわくするよ。とてもラブソングとは思えない」
「あら、いいところに目を着けたわねジョニー。MVではそれぞれの国を率いる王であるKAT-TUNが兵士をひきつれて戦っていたわけだけれど、愛は何で光だけを魅せて あなたを奪うの? という歌詞もあるしラブソングでいいと思うわ。WHERE IS THE HEAVEN? 現実はJUSTICE無いまま? ……世紀末かしら?」
「ヒャッハー! KAT-TUNのラブソングは最高だぜえ!」
「待って、最後に最大の問題作が残っているわ」
「……あれだろう?」
「ええジョニー、あなたの御想像の通りよ。わたしたちが避けて通ってはいけない曲がある――――LOCK ON」
「正直みんなわかってたと思うよ」
「以前別の記事でも取り上げたわね。MVや曲調がかっこいいから何の疑問も持たず聴いてしまいそうになるけど、歌詞に目を向けたとき、この曲は牙をむくの」
「逃げ回っても 君の匂いを嗅ぎ分ける……おいおい、冒頭からサイコーに飛ばしてるな! このSCOPEの中に君の笑顔を映しだす……こいつはかなりCrazyだぜ!」
「ストーカー以外の何者でもないわ。住む世界が違うと誰も言うけどって、住む世界以前の問題よ。お前はストーカーだと誰も言うわよ」
「君が誰か想ってても 無理やりでも君を振り向かすって……いったい彼はなにをするつもりなんだ」
「それは見ていけばわかるんじゃない? このSLOPEを君が 白いドレスで歩くまで、これは君が想っている誰かとの結婚式のことでしょう?」
「卒業 *2 パターンかな? でもこのストーカーの彼は彼女と恋仲だったわけではないんだろう?」
「ええ、そして彼は行動にうつすの。爆発前の鼓動を 溶けてくほどに重ねて 無理矢理でも君を抱きしめ」
「Oh! ど、どうなってしまうんだい!?」
「焦らないでジョニー。その胸に俺の愛を燃やし眠れよ。これをどう思う?」
「不穏でしかないね。もしかして無理心中をはかったんじゃないか?」
「その可能性は高いわ。なぜなら、一度でも振り向くまでそばにいて守る、ということは一度でも振り向いたらもう守らないということ、二度と会えない獲物だけを必ず……二度目はないの」
「乾いた牙、という言葉もますます不安を煽るね」
「ストーカーが一方的な思いを募らせて結婚式に紛れこんで花嫁を刺し殺す、こんな歌をLOVEメドレーで歌えると思う?」
「思わないね。確実に頭がどうかしたとTwitterでトレンドに入るだろうな」
「……それはそれでおいしい気もするわね」
「キャシー、君もなかなかに頭がどうかしてるよ!!」
ちょっとふざけすぎました。LOVEメドレー楽しみです。