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NEWSとKAT-TUNとハロプロ、ジャニハロDDヲタ、普段は二次元にいる

短編小説を書きました

 

お風呂に入ってて唐突に浮かんで深夜テンションでだーっと書き上げたけど少女企画に載せられるページ数でもないしどこで公開しようかなと思って題材的にここでもいいかなと思ったので載せます。当然ながらフィクションです。

 

 

 

 セットしておいた携帯のアラームが鳴っても、起きるのは私ひとり。洵也くんはお寝坊さんだ。いつも一日の大半を部屋の中で眠って過ごす。なのに私が寝てるときに起きていたりするんだから。

「おはよう、洵也くん」

 返事はなくて、聞こえたのはただ微かなうめき声だけ。私はそっとベッドから起き上がって、朝食の仕度をする。自分の分と、洵也くんの分。卵焼きは甘いのよりしょっぱいのを、ウィンナーもつけて、洵也くんが前に好きだって言ってたちょっと高めのフルーツグラノーラにヨーグルトを混ぜる。

「朝ご飯、置いとくから食べてね」

 声をかけてもやっぱり返事はない。今日はちゃんと食べてくれるかな、どうだろう。私は着替えて化粧をして、バッグを持って仕事に出かける。本当は一日中洵也くんのそばに、洵也くんと一緒にいたいけど、洵也くんと暮らすためにはお金がいるから私が働かなくちゃいけない。洵也くんは今仕事をしていない。私に飼われている。

「行ってきまぁす」

 部屋の奥からカタン、と音はしたけど、洵也くんからの「行ってらっしゃい」はとうとう聞けなかった。電車の中、右耳につけたイヤホンからは、お気に入りの曲がリピートで流れてくる。通勤中も、仕事中だって頭を占めるのは、私以外の女に心を奪われて、洵也くんがどこかに行ってしまうかもしれないという不安。洵也くん、私、洵也くんとずっと一緒にいたいの。そのためならなんだってするから、お願い、どこにも行かないで。

「ただいま……」

 玄関でぱちんと電気をつけて、寝室をのぞくと、スプーンを蹴飛ばしてしまう。

「あっ!」

 床にはフルーツグラノーラとヨーグルトが散乱していた。悲しくなって、じわりと目に涙が浮かぶ。どうしてこんなことするの。せっかく用意したのに、どうして食べてくれないの。おかえりも言ってくれないし、ひどすぎるよ。私に背を向けている洵也くんにそっと近づくと、振り返った彼に身体ごとどんとぶつかられた。

「痛っ……」

 勢いよく肘を壁に擦って痛いよ、ああまた痣が増えちゃうなあ。私を睨み付ける洵也くんはとても怒っていて、私は泣いてしまう。どうして洵也くんはわかってくれないんだろう。身体にくっきりとついている鬱血の痕に唇で触れる。洵也くんは顔をしかめるけれど、赤黒いそれも、洵也くんの一部だと思うと私は愛しくてたまらないのに。本当は優しい洵也くん。いつだってキラキラな笑顔を見せてくれてた洵也くん。歌が上手で、踊りも上手で、お芝居も上手で、とってもかっこいい。

「大丈夫だよ、私、洵也くんのこと好きだもん」

 好きな人になら何をされても平気、ねえ、そういうものでしょう? 洵也くんもみんなの前で言ってくれたよね、私のこと好きだって。自分がここまで来られたのは私のおかげだって、感謝してるって。世界で一番大切だって。

 

 積み上がったたくさんの雑誌の横、手にした新聞紙には洵也くんの名前が載っていたのでそのページだけは取っておく。剥がした長いガムテープと汚れた服を残りのいらない新聞紙で包んで半透明のゴミ袋に捨てて、キッチンに立って包丁を握る。今日の夜はシチューを作ろう。洵也くんはお母さんの作るシチューが一番好きだって言ってたけど、私のシチューだってお肉たっぷりだし絶対に美味しい。洵也くんが食べられなくても、私が残さないで全部食べてあげるから安心してね。

 

 

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お粗末様でした。BGMはKAT-TUNのLovin'Uです。